「海」に寄せた古賀春江の解題

透明なる鋭い水色。藍。紫。
 見透される現実。陸地は海の中にある。
 辷る物体。海水。潜水艦。帆前船。
 北緯五十度。

海水衣の女。物の凡てを海の魚族につなぐもの
 萌える新しい匂ひの海藻。

独逸最新式潜水艦の鋼鉄製室の中で
 艦長は鳩のやうな鳥を愛したかも知れない
 聴音器に突きあたる直線的な音。

モーターは廻る。廻る。
 起重機の風の中の顔。
 魚等は彼らの進路を図る―彼等は空虚の距離を充填するだろう―

双眼鏡を取り給へ。地球はぐるっと廻つて全景を見透される。