都市論序説

(前略)


都市は日ごと

土のない道 花木のない階段を

絞首台への道のように

作りつづけ

かぎりなく

闇の湖も作りつづける

だから 闇の湖に浮かぶ高層ビルのあいだに

浮かんでいるヒトビトが

仮説の上を 仮面で翔ぶ

劇画のライダーのように見えるのだ


ときにその高層のビルの

闇の湖があらわになるとき

青い深い空の湖が映すことがある

雨と雷と

雪と木枯しで切り込んでくることがある

それがどれだけ都市を季節に染めあげただろうか


またときに空気を切り裂いて

倒壊する建物が一瞬見えることがある

瓦礫のなかに ヒトの首

突き出して見えてくることがある

そこにも ここにも

土に還れぬ ヒトビトの首が

炎天に焼きついて

ひっついている 転がっている

座しているのが 見えてくることがある


その風景が

道行くヒトに突き刺さり

喉元で静止したままのが

見えることがある

 
  


  

- 芳賀章内『都市論序説』(1991)雄山閣出版鮫の会